イベント情報
『K4-GP セパン24時間耐久レース』に参戦して来ました!(24時間耐久レース決勝編)
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2月9日(土)12時『24時間耐久 決勝日』
『K4-GP セパン24時間耐久レース』に参戦して来ました!(移動〜フリー走行編)』からの続きです。
給油所の様子などから、給油に非常に時間が掛かる事を感じ取り、何台かが給油所に同時に並んだ場合は20分以上のロスタイムも有りえる事も想定し、#156は37リットルタンクですので3リットルの端数分を、レーススタート後は燃費を気にせず全開で減らし、41チーム中の1番最初に給油所に入る作戦を考えます。
この作戦の心配点は、マレー人が今回のレースでの特殊な給油方法を理解し、1番目の給油となるであろう#156の給油をスムーズに行えるのか?という点です。この点は非常に心配で悩みましたが、多種多様なマシンが走るK4-GPで、ザウルスJrベースなどの特殊車輌で給油がしにくい車輌などと重なった場合のロスタイムを考えると、断然で有効な作戦だと自分に言い聞かして、チーム全員にコッソリとこの作戦を伝えます。 -
レース前グリッド上にて。
K4-GP恒例の「コスプレ」のスターターさんです。
当大会も旧ル・マン式スタートが採用されていますので、マシンをグリッドに斜め縦列に並べ、コース逆端から走って来たスターターさんが、各マシンのフロントガラスに張られた目張りを剥がしてからスタートを切ります。 -
毎回、グリッド順の決定方法は不明なのですが、今回は41台中の36台目からのスタートです。
天気は晴天で気温は33度オーバーと、非常に暑いレーススタートまで、あと少しとなってしまいました。 -
今回#156で一緒に戦うメンバーです!
左下から私、左上が坂本選手(S-GT)、左上中が藤田選手(S耐)、右上中が藤村選手(S耐)、右下が植田選手(WEST代表)、右上がマネージャー件スターター山田さん(藤村彼女)
メカニックの梶村さんは、この時はPITで涼んでいて不在ですが、ドライバー陣が5人(私含めて)で、メカニック陣2人(私含めて)、マネージャー1人の合計7人の超少数精鋭チームです。 -
定刻通り12時にレースがスタートされます。
まずは坂本選手から、藤田選手、藤村選手、植田選手、私の順で1人約1時間40分=33〜34LAPの走行予定です。(坂本選手のみ約2時間)
スターター山田さんの検討空しく、スタート時にPITスイッチが入りっぱなしのトラブルが有りエンスト!最後尾に落としてのスタートを切ります。24時間レースですので、慌てず焦らず行く事を無線で伝え、予定通りのハイペースで3リットル分のガソリンを消費させます。
3リットル消費の安全領域を超えた6LAP目、PIT INして少しの作業をして全チーム中最初の給油所へ・・・やはり、のんびりと作業をされているようで、坂本選手から怒りの無線報告が・・・。給油のみで約5分掛かり、レース復帰させます。 -
その後、18LAP目にはSC(追い越し禁止のセーフティーカー)が入ります。どうやらマレーシアチームの#69がスピンして止まっているようです。給油量が決まっているレースの為に、SCでも急に飛び込んでくるチームは少なく、当然#156もSCの隊列に並んで燃費を向上するよう努めます。25LAP目、予定時刻不明だったタンクローリー到着、ここから約20分間の間、給油所がストップします。
その後、29LAP目には給油所が再開しますが、これを待ってたチーム8台ほどがなだれ込み、タイミングの悪いチームで30分以上の給油ロスタイムが有るようです。どうやら、#156の最初の給油タイミングは成功だったようです。
その後、32LAP目(予定周回数−1ですがSCが入ったので、時間優先。)に藤田選手に交替する為にPIT IN。ここでは給油無し、ドライアイス&水の補給のみで、最速でマシンをコースに戻します。38LAP目にはポジションを5位にまでジャンプアップさせ、41LAP目4位・・・47LAP目1位と順調にポジションを上げて行きます。49LAP目ここで燃費計算をすると予定より燃費が悪い事が判明します。回転をセーブする事を伝え、残りのドライバーも1回目の搭乗は練習&燃費温存に勤める為に、この回転をキープさせます。 -
ここからは給油所の状況を確認しつつ、空いている時にPITに入る作戦に移行です。
51LAP目PIT 藤村選手へ。ドライアイス&水の補給、無線バッテリー交換、給油メニューをこなします。ポジション1位から9位へ落とします。
82LAP目PIT 植田選手へ。ドライアイス&水の補給、給油メニュー。ポジション3位から7位へ。
126LAP目PIT 私、國松へ。ナイトランへ移行する為&PIT作業要員減少の為に、給油のみのメニュー。ポジション6位から8位?この時19時頃ですので、19時30分頃の日没に備えます。チームで最初のナイトラン、私が壊した右フロント・・・右コーナーの多いセパンサーキットで、右側コーナーフォグを失ったのはやはり厳しく、チームに状況を伝えつつ、次のPITの際にフロントガラスを拭く用意をするよう伝えます。
ここで燃費が最初の予定よりかなり良くなってきたので、回転制御を緩和させます。
146LAP目PIT 2回目の藤村選手へ。フロントガラス清掃、水の補給、給油メニュー。160LAP目ポジション7位にした所で雨が降り始めます。この雨は小雨で数LAPで止み、特にレースには影響がなさそうです。 -
155LAP目 バッテリー+端子から出火。PITにて点検&バッテリー交換作業をします。今回のレース用に予備ドライバッテリーを追加して+端子のみで付け替え出来るよう(ドライバーでも交換可能なように蝶ネジ留め。)準備して来たのが功を奏して、短時間で作業終了。トラブルを最小限のロスに抑えます。
179LAP目 バックモニター故障。ここで藤村選手にタイヤの状況を聞きますが「少しゴツゴツ感が出て来ましたが、まだ大丈夫そうです!」の後に「何かパタパタ音が聞こえますが。」と報告が入ります。
・・・・・・パタパタ音!? ここで急遽フロント側タイヤ交換を決め、急いで準備をします。
182LAP目PIT 2回目の坂本選手へ。フロントタイヤ交換、無線バッテリー交換、水補給、給油メニュー。ポジションは10位へ。回転制御を無くしてタイムアップと燃費の割り出しをします。 -
予想した通り、パタパタ音はタイヤが剥離を始めた音でした。ギリギリの所で危険を回避出来た事にメカニック2人は大満足です。
この後、約1時間後に藤村選手の彼女から、先ほど乗った藤村選手が体調不良を訴えている事を聞きます。その後の走行は難しい状況を聞いて、悩みぬいてドライバー順序&回数を少しずつ変えます。残りの12時間ほどを4人のドライバーで回します。
214LAP目PIT 2回目の植田選手へ。水補給、給油のみのメニュー。ポジション6位の状態でレースの半分とちょっとを越えて0時36分でした。
この辺りから、全開走行時でもタイムの伸びはそこまで変化せず、燃費のみが悪化する傾向を掴み、当初13回給油で計280リットルの予定を、1回分給油をスキップし260リットルで走らせきる作戦に推移させます。(この方が多少LAPタイムを落としても、長い給油時間をロスするよりマシだと判断。)
237LAP目PIT 2回目の藤田選手へ。無線バッテリー交換のみ、給油なしのメニュー。ポジション5位へ。この辺りから無線の調子がどんどんと悪い方向へ進んで行きます。幸いにもエンジニアの私からの声はドライバーにちゃんと伝わり、ドライバーからの返答が聞き取れないトラブルです。
263LAP目PIT 2回目の私、國松へ。給油のみのメニューです。ここで無線が完全にダメになったようで、交信が途絶えた状態で孤独なサーキット1人旅です。最初は必死でPITに交信を試みますが、余裕が出てきた頃にはストレートなどで無線の状況を走りながら確認をしたりします。
275LAP目 突然、私の問いかけに応える声がかすかに聞こえます。「無線が混線してるなぁ」と思いつつも、かすかな望みを込めて通信をします。1方通行の通信かに思えた無線から、私の「で、誰!?」の問いに「RYU(藤田選手)です!」・・・え?無線復活した!!・・・・ほっとした瞬間がヘアピンコーナー上で、アンダーを出して飛び出しそうになりましたが、嬉しさ全開!不安から安心に一気に変化していきました。無線が途絶えてからの現在の状況を、お互いに通信して伝え合います。 -
278LAP目PIT 3回目の坂本選手へ。ドライバーが減ったのでここはショートで体力温存の作戦で、ドライバーチェンジのみで繋ぎます。
295LAP目PIT 3回目の藤田選手へ。ここでラストアタックの準備の為にリアタイヤ交換、水補給、給油のメニューをこなします。日が落ちてからは、ポジションは4位で順調に推移しています。
325LAP目PIT 3回目の植田選手へ。フロントタイヤ交換、無線バッテリーチェンジ、給油のメニュー。ここからは朝日が出てくる事を想定してLAPを重ねます。 -
390LAP目PIT チェッカードライバーとなる藤田選手へ。ドライアイス補給、給油のみのメニュー。
総合4位、クラス優勝はこのままのペースでは変化しようが無い事を無線で伝え、ペースコントロールをします。23時間以上戦い続け、あと20LAPほど先にあるチェッカーへマシンを誘導して貰います。
417LAP目 みごと24時間を戦い続けた#156は、大きなトラブルもなく総合4位、クラス優勝で見事にレースを終了させました! -
24時間のレースで色々なトラブルが当然、数々と起ります。このトラブルを跳ね除けLAPを刻み続けたドライバー、トラブルを未然に回避しながらも起ったトラブルを最小限のロスで解消させたメカニック、明け方前の1番辛い時間帯に体調不良の彼氏の変わりにタイム計測を続けてくれたマネージャー。
全てがチームの為に24時間を捧げてくれた結果、#156は最後まで元気に走り続けてくれました。 -
自社チームでマシンの製作から、レース準備、書類製作など下準備に追われた去年の暮れ。正直、赤字が酷くてWEST代表植田選手と私の2人で、それなりの大金を投入して望んだ24時間耐久レースですので、どうしても勝ちたかったこのレース。賞金は当然出ませんが、それ以上に望んだトロフィーを手にする事が出来て、本当にやって良かったレースだと思います。
このチームに参加してくれた6人、遠い日本からフェイスブックなどを通して夜通し応援してくれたファンの方達、一緒に楽しいレースを盛り上げてくれた参加者&主催者の方達、全ての人達に感謝です! -
夜中の私の走行後、暗闇で全開で走るル・マンなどを代表するGTレーサーを尊敬する私のコメントを見た、GTドライバー井入選手から「頭のネジ飛んでんとムリやろ?」とのコメントに、激しく同意してしまった私は、頭のネジがしっかりと締まっている事を確認出来た貴重な24時間でもありました。
最後に・・・#156ミラジーノは、現地の方達にも大人気のようで、何度もこのような人だかりに飲み込まれていましたよ!