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スーパー耐久レース2012(第5戦)鈴鹿サーキットに行って来ました!


  • 10月18日(木)から21日(日)の日程で、『スーパー耐久レース2012 第5戦』を戦う為に、鈴鹿サーキットに行って来ました。

    前戦の岡山大会から、約2ヵ月のインターバルを経て、スーパー耐久レース2012シーズンは後半戦へと向かう訳ですが、この間にチーム「TRACY SPORTS」さんで、漏電による火事が起きてしまうという大事件がありました。火災が発生したのが夜中という事で、スタッフの皆さんが全員無事だったのがせめてもの救いでは有りますが、私が今期担当するS-GT用#86ガイヤルドは全焼、S耐用#38 S2000を始め、#70 NSXや、#39 IS350なども被害を受けました。全焼してしまった#86は再生不可能でしたが、他の車輌はまだ損害が軽微だった為、なんとか修復してS耐車輌は全車が、今大会の鈴鹿戦に間に合わす事が出来ました。

    そのような状況の中、決してメゲないTRACYスピリッツに関心しつつも、この事件でより一層の「メゲない心」をチーム全員が共有出来たと思います。#38としてはシリーズ2位で迎えた残り2戦!取りこぼしの無い様にして、最終戦のオートポリスに繋げて行きたいと思い、いつもより早めの木曜日に鈴鹿入りしました。

    なお今大会は、WTCCレースと同時開催の為に、1時間×2レースで通常の耐久レースより、かなりショートレースですが、ドライバーチェンジ&タイヤ4本交換義務付け、レース中の給油禁止と、いつものスーパー耐久レースとは違ったレギュレーションとなっています。

  • そして、今回はBドライバー藤田選手が、仕事の為にどうしてもレースに参加出来ず、急遽代役として『坂本祐也』選手にお願い致しました。

  • シリーズチャンピオンを虎視眈々と狙う#38としては、この鈴鹿戦でポイントリーダーの#18に離される事なく、最終戦のオートポリスまで逆転可能なポイント差を保てるよう、S-GTでも活躍し、私やAドライバー藤村選手とも「K4-GP」で一緒に戦い、確かなドライビング技術&高いセットアップ能力を持つ彼に、今回のBドライバーをお願い致しました。

  • 18日(木)は『搬入日』でした。

    WTCCレースと同時開催の今回の鈴鹿戦は、PIT数が足りない為、こんな感じで1PITに2台が縦に並んでメンテナンスされます。非常に使い勝手の悪いPIT割りで、毎回の走行前と走行後は無駄な労力が増えました(汗)

  • 19日(金)は『フリー走行日』でした。

    今回は1時間のショートレースの為、通常の耐久レース以上に、燃料が軽い状態かつ速さを求めたマシンのセットアップや、3人のドライバーさん達のマシン&コースへの習熟度をアップする為、1時間×3本のフリー走行枠をフルに走りきりました。

  • もちろん、タイヤの状態確認やエアー管理も、いつも以上にシビアになって来ますので、この3本のフリー走行枠で確認作業を併せて行って行きました。

  • 20日(土)は『PIT WALK』から。

    左からAドラ 藤村選手、Bドラ 坂本選手、Cドラ 筒井選手です。

  • PIT WALKの後は『予選』が行われました。

    今回の決勝のグリッドは、1レース目はAドラ&Bドラのトップタイムの合算タイムで決まり、2レース目はAドラ&Bドラの2番目に良いタイムの合算タイムで決まります。ですので、良いタイムを2回出す必要が有る事を、ドライバー各位に伝えて15分間の予選に挑みました。

    Aドラ予選 藤村選手がコースインして2LAP目にクラス7番手となるタイムをマークしますが、次の3LAP目のアタック中に痛恨のスピンを喫してしまい、コース脇のガードレールに軽く接触。結局、この接触によってマシンにもダメージを与えてしまい、その後の予選を走る事が出来ずに、2レース目のグリッドを決めるセカンドタイムは、コースイン時に計測されたかなり遅いタイムが採用される事になりました。

  • Bドラ予選までの短いインターバルで、なんとか予選を走る事が出来るようにマシンの修復を急ぎます。ここで完璧にとはいかないまでも、それなりの状態まで修復して、坂本選手にBドラ予選を託します。

  • Bドラ予選 坂本選手も7番手のトップタイム、5番手のセカンドタイムを出して予選を終え、合算タイムから第1レースのグリッドは7番手、第2レースのグリッドはクラス最下位で全体の47番手という、かなり厳しい位置からのスタートが決定しました。(その後、#18に赤旗中の追い越し禁止違反の裁定により、5グリッド降格が決まり、第1レースは6番手グリッドからのスタートとなりました。)

  • Cドラ予選 筒井選手は、クラス中でも上位につける好タイムで、明日の決勝の確認も済ませて、この日の走行を終了しました。

  • 21日(日)は『フリー走行』から。

    ここで、決勝レース前の最終確認をA→B→Cドラの順で行いましたが、Cドラ筒井選手が1クラスのBMWと軽く接触してしまい、PITに戻って着ました。

    マシンを確認すると、決勝レースで義務付けられているタイヤ交換で、絶対に必要なエアジャッキの差し込み口が折れていましたので、決勝レースまでの短い時間でなんとか修復を急ぎ、決勝グリッドにマシンを送り出しました。

  • お陰で、決勝グリッドでマシンの最終確認をするハメに・・・(汗)

  • その頃、#38&#95&#116のドライバーさん達は、決勝レースを前に腹の探り合いをしていたようですねw

  • 『第1レース 決勝レーススタート』

    6番手グリッドからスタートの第1レースは、Aドラ 藤村選手からスタート→ショートで、Bドラ 坂本選手にロングを託す作戦です。(1人のドライバーの最長運転時間40分以内が義務付けられたレースです。)

    決勝レーススタート後、すぐさまポジションを5位に上げ、その後も順調にLAPを刻んで行きます。ライバルチームより一足早い9LAP目にPITに戻るよう、無線で指示を出します。

    #38がPITロードに入って来たのを確認後、私達の作業エリアより後ろのPITで作業をするチームを確認する為、1コーナー側を振り向いた時、コース上で激しい白煙が上がるのが見えました。そしてクラス3番手で走る#116も同タイミングでPITに入れるようです。が・・・まずは目の前のPIT作業を優先させタイヤ交換&ドライバーを坂本選手に交代させます。この際に、だれかの「SC(セーフティーカー)が出た!SCやー!!」という声が聞こえる中、PIT作業を素早く成功させた#38をすぐさまコースに戻します。ここで#116をPITで抜く事に成功!喜んだ矢先に「コースに戻る前に、PITロードの先でオフィシャルに止められた!水温が上がるからエンジンを止めようか?」と坂本選手から無線が入ります。先ほどのSCのボードが、赤旗ボード(レース中断)に変更され、PIT内のモニターではクラッシュしたマシンが映し出されずに、待機画面に差し替えられています。ここで、先ほどの1コーナー先のクラッシュが、かなり深刻なものだと判断し、レースの進行をPITロード上で待ちます。

  • オフィシャルさん達の間にもかなりの混乱が見られ、色々な情報が錯綜する中、場内放送により「レース成立。マシンをPITに戻して、その位置で車輌保管。」と言う旨の放送がされました。

    私達のように1部では既にPIT作業が終わったチーム、まだ義務のPIT作業を終えていないチームが混在する中、レースの順位をどういう風に決めるのかも告げられず、なにより先ほどのクラッシュの状況もよく判らない私は、この後、#35のZからオイル漏れが発生し、#70 NSXと#63 Zが、そのオイルに乗ってクラッシュしたようだと伝え聞きます。

  • そのクラッシュの際に#70 NSXをドライブ中、同じく1コーナーでオイルに乗ってクラッシュした加納選手に、その時の状況を聞きましたが、#63のOSAMU選手はかなり深刻な状況のようで、ドクターヘリで病院へ搬送されていった事など説明を受けました。

  • そんな中でも、レースはタイムスケジュール通り、『第2レース 決勝レーススタート』へと向かいます。

    全体の47番手という、ほぼ最下位からのスタートとなる第2レースは、第1レース同様の作戦でCドラ 筒井選手からスタート→ショートで、Bドラ 坂本選手にロングを託す作戦です。

    スタート後の1LAPで、まずは5クラスの全てを抜いて、2LAP目にはクラスポジション13位に、4LAP目&6LAP目にそれぞれ1台抜いてポジションを11位とします。ここで、またもライバルチームより早めの9LAP目にPITに入れ、タイヤ交換&ドライバーチェンジを済ませ、このPIT作業でも1台交わしてポジションを10位に引き上げ、マシンをコースに戻します。

    ここから、坂本選手の怒涛の追い上げと、他チームのPIT作業などにより、徐々に順位を上げて行きますが、1時間のショートレースの為、2位&3位を数秒先に追い上げていくレース展開の中、残念ながら4位でチェッカーフラッグが振られてしまいました。

  • 第2レースの後に、第1レースの結果を聞きましたが、こちらのレースは赤旗前の周回の順位という事となり5位と決まりました。第1レース&第2レース共に、ポイントリーダーの#18の1つ後ろのポジションでレースを終了した為、ポイントは少しだけ離されてしまいましたが、まだクラス2位。予選の失敗から最悪の事態を考えましたが、まだまだ他力本願では無く、実力で最終戦オートポリスで大逆転が出来るポイント差に留まる事が出来たので、まずまずの結果だったのでは無いでしょうか?


    第1レースの結果報告と共に、ドクターヘリで搬送されたOSAMU選手の死亡が確認された事も報告されました。私が携わったレースとしては、初めての死亡事故レースとなってしまい、かなり重苦しい気持ちで色々な事を考えたレースウィークとなってしまいましたが、この気持ちを忘れる事なく、今後のレースでも「特に」安全な装備でのレースを提唱出来るよう、より安全なマシンを製作&用意出来るよう心掛けて、前に進んで行きたいと思います。

    共に同じレースで戦った「OSAMU選手」のご冥福を心よりお祈り致します。